このページでは、木質バイオマス発電が地球環境にどのように貢献しているかについて紹介します。
木質バイオマスは「再生可能エネルギー」
火力を使った発電には、蒸気を作るための燃料が必要です。現在は石油や石炭、LNGガス(天然ガス)などさまざまな化石燃料が用いられていますが、これらの資源には限りがあると言われています。
一方、木質バイオマス発電では、林業から出た間伐材を燃料として使用しています。限りのある化石燃料と違って、林業が続いていく限りこれらの間伐材は発生し続けます。
このように、使用してもすぐに補充することのできるエネルギーのことを「再生可能エネルギー」と呼んでいます。バイオマスの他にも、太陽光や太陽熱、水力、風力、地熱などの自然の力を利用した発電は、すべて再生可能エネルギーによる発電です。
再生可能なエネルギーを使うことで、限りある資源を守り、環境へ負荷をかけずに発電することが可能になります。
木質バイオマス発電はこれらの再生可能エネルギーを使った発電の中でも、出力が安定しているという特徴があります。
太陽光や風力などは、その時の天気によって発電量が不安定になってしまいますが、木質バイオマス発電は燃料となる木さえ調達することができればあとは通常の火力発電と同じなので、24時間安定して電力を創り出すことができます。
環境に優しく、かつ安定して地産地消電源を供給できるというところに、木質バイオマス発電の意義があると私たちは考えています。
バイオマス発電は「カーボンニュートラル」
もうひとつ、木質バイオマス発電が環境に貢献していることがあります。
それは、CO2(二酸化炭素)排出の抑制です。
一般的な石油や石炭などの化石燃料を燃やす発電の場合、CO2が発生します。これらを燃やすことは、大気中にCO2を増やす要因となってしまいます。
もちろん、私たちが燃料として使用しているバイオマスも燃やせばCO2は発生します。
森林の樹木は、光合成によって大気中のCO2の吸収・固定を行っています。森林から生産される木材をエネルギーとして燃やすとCO2を発生しますが、このCO2は、樹木の伐採後に森林が更新されれば、その成長過程で再び樹木に吸収されることになります。全体で見れば大気中に増える炭素の量はプラスマイナスゼロとなるのです。
この状態を「カーボンニュートラル」と呼びます。バイオマス発電は、このカーボンニュートラルな発電を行うことで、CO2排出の抑制に貢献しています。
間伐によるCO2吸収能力の増加
また、私たちはバイオマス燃料として山林の間伐材を使用していますが、この間伐を効果的に行うことで、山林のCO2の吸収力が増加するという研究結果が出ています。
間伐を行うことで残された木がより成長すれば、間伐前よりも多く枝葉を張ることができるようになります(間伐について、詳しくはこちらのページへ)。葉が増えた分だけ、その木のCO2吸収能力は高まります。
そのため、間伐をしなかった時と比べて山林のCO2吸収能力が高まる、という研究結果が出ています。
【さらに詳しくは、森林総合研究所で公開されている以下の研究成果報告資料をご覧ください。】
森林総合研究所平成16年度研究成果「間伐は人工林のバイオマス成長を促すのか?」
バイオマス発電事業を通じてCO2は排出されますが、間伐材の有効利用によって、林業における間伐をサポートすることによって森林のCO2吸収力を高め、間接的にCO2の削減に貢献しています。