手を取り合う、林業と電力事業

3.林業と電力事業がつながる

手を取り合う、林業と電力事業

私たち木質バイオマス発電と林業は、ここまでご紹介してきた通り切っても切り離せない関係です。私たちの事業が、北海道の地元林業にどのように貢献しているかについてご紹介します。

お話:西尾調達部員(苫小牧バイオマス発電)

行き先のなかった間伐材の活用

良い木を育てるために「間伐」は行われていますが、間伐には1つの問題がありました。
それは、間伐で伐採した木は商品として出荷できず、未利用木材として山林に放置されることが多い、ということです。

なぜなら、これらは十分に成長していないため木の径が細く、製材や合板材用といった本来の目的で出荷することはできません。

山が健全な状態を保ち、良質な木材を生み出すために「間伐」はなくてはならない作業なのですが、いっぽう間伐で切られた木はなかなか多くを出荷できない。林業にとって、こうした間伐材はなかなか活用しきれていなかった…というのが実情です。

伐採したものの出荷されない「未利用木材」が、山林に多く残されている(写真はイメージです)

バイオマス発電では、こうした未利用木材を買い取ることで、本来出荷できないものであった間伐材も収益化できるようにしました。

この買取に欠かせないキーワードが「再生可能エネルギー固定価格買取制度」、通称FITです。

再生可能エネルギー固定価格買取制度(FIT)を活用するための燃料の調達

FITとは、再生可能エネルギーの普及を図るため、再生可能エネルギーで発電された電気を、一定の期間固定価格で買い取ることを義務付けた制度です。

苫小牧バイオマス発電では、FITに基づき間伐材等由来の木質バイオマスを燃料として利用していますが、間伐材等由来の木質バイオマスと認められるにはいくつか条件があります。

その条件のうちのひとつが、国の定めた「森林経営計画にそって整備された森林で生産された木材であること」です。

森林経営計画とは、「効率的な森林施業と適切な森林管理を通じて、森林の持つ多様な機能を十分に発揮させることを目的」とした計画で、この計画に沿って運営された山林では補助金などの支援を受けることができます。健全な山づくりを国が支援しているのです。

こちらの計画に沿って経営されている山林で生産された木材は、FITにおける間伐材等由来の木質バイオマスとして買い取ることができるようになります。

このことで、健全な木の育成や山林の環境保全にとって大事な「間伐」という作業も、林業は収益源のひとつとして安定して行えるようになりました。

安定した燃料調達のために、意識していること

木材の調達には需要と供給のバランスがどうしてもあり、いつでも安定して生産・出荷できるというものではありません。

もともと私たちが欲しいのは、林業の出荷材でいうと「C材」や「D材」にあたる木材です。
(木材には、その質によって丸太のままで出荷される一般材のA材、合板用のB材、チップ用のC材、それ以外の小径木や枝材などがD材というようにランク分けされています。間伐材の大部分は、いちばん安価なC材やD材にランクされます。)

木材を出荷する側としては必ずしもC材やD材だけが準備できるわけではない。A材やB材のほうが高く売れますし、林業としてはこちらを優先して出荷したいわけです。

ですから、林業にとってもちょうど良いバランスになるように、商社に間に入っていただきながらバランスを調整しています。

山林で伐採される木材

林業の方に、できるだけ負担をかけずに集材する

もうひとつ、私たちでは、山から出たものは全部買い取っています。そこの安定調達って部分では、うちで出来ることは「調達を止めない事」です。山から出たものは全部持ってきていいですよ、全て買い取ります…というやり方を行っています。

こうした取り組みから、林業の方からの信頼を得ることができ、これだけの量の燃料が集まっていると思います。

間伐材は、非常に集荷しづらい燃料なので、どうしても集荷コストは高くなります。うちも可能な限りは、しかるべき値段で買っていきたいと思います。

発電所だけのことを見れば、燃料コストを削減していけば当然利益は上がります。でも、それを続けてしまったら私たちも燃料が調達できなくなってしまいますし、林業の方にも迷惑をかけてしまう。私たちがしっかりとした集荷計画を立てて、できるだけ安定させて集荷していくためには、信用が大事です。

山林で丸太に加工される木材

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