発電所が定格の電力を生み出し続けることを「定格運転」と呼びます。発電所を安定稼働させ、この定格運転の状態を保ち続けるため、どのように日々保守や監視を続けているのかについてご紹介します。
24時間、発電所を監視し続けている
発電所内の運転員には、巡視点検や設備保全業務、燃料受入管理業務、ユーティリティの調達管理業務など様々な業務があります。
その中でもっともウェイトが高いのは、運転操作の監視です。監視は24時間、交代制で行っています。運転員は必ず、常に最低2人が常駐して運転の監視を行っています。
普段は(この写真のように)監視モニターを通じての監視ですが、毎日1人1回は現場をぐるっと回って点検を行い、現場機器の主要な所の記録も直接取っています。
もし異常があれば簡単なものは点検して運転員が自分で直すこともありますが、設備保全が専門のメンバーも2人いますので、そのメンバーが直すこともあります。
もし手に負えない異常があれば他の業者に委託して対応していただくことになりますが、いまのところそこまで大きなトラブルはないです。私たちの対応で直すことがほとんどです。
燃料チップの含水率を監視して、さまざまなアクションを起こす
監視は主に、上の写真のようにモニターに表示されている数字で行われます。
この写真のように、モニター内にチップ含水率が表示されています。発電所内には2箇所に水分センサーがあり、大まかな含水率が測定できるような仕組みになっています。
発電部の方も含水率の話をしたかと思いますが、やっぱりそこの管理が一番大事だと思います。もし含水率がちょうど良いものなら問題なく定格運転ができるので、そこさえきちんと管理されていれば、安定した運転が出来ます。
モニターでは主に含水率を見ていきますが、他にもボイラー内の温度や圧力など、さまざまな設備の数字がモニター内に出てきます。燃料の状況によってよく変わるのは含水率や燃焼温度です。たとえばボイラー内の流動砂の温度が下がっていれば、投入したチップが燃えにくいということですから、つまりチップの含水率が高いということになります。
それによって燃焼空気量を変えてやったり、チップのブレンド方法を変えたり…という対応をします。
自動化だけに頼らず、人の経験、ノウハウを蓄積して定格出力を維持していく
今では大きなトラブルはありませんが、実は稼働して最初の頃はトラブルもありました。チップの含水率が高すぎて「不完全燃焼」という状態になり、ボイラーが失火しそうになってしまったのです。
その時は含水率が75%、最高で80%という状態でした。あくまでもセンサーの数値の話ですが、75%くらいで燃焼炉から炎が見えなくなり、真っ暗になってきます。そのときはとにかく乾燥したチップをホッパーに投入して、無事に回復することができました。
その頃から積み重ねてきた経験もあり、含水率が大きく増えそうな時にはオペレーターが判断して、ボイラーに送る空気量を変えたり、燃料の投入量を抑えるといったアクションを起こします。こうした判断が現場でもできるようになってきました。
また、丸太から燃料チップを作る作業担当の方とは常に連携をしています。こちらで監視した結果含水率が高いとか低いということがあれば、連絡を取り合って製造するチップの含水率を調整しています。チップを作っている方も慣れてきて、うまくブレンドしてやっています。結構苦労をおかけしてるのかな、と私たちも感謝しています。
やはり定格の発電量を維持して守っていくというのが、私たちの仕事のやりがいでもあります。この発電所の定格電力は6,194kWなんですが、この出力を安定してずっと運転が出来る、ということを何よりの目標にして日々の業務を行っています。